「どうやって英語を習得したんですか?」②
前回の続きです。
HelloとExcuse meしか言えない状態で、日本人は自分だけというアメリカの現地校に放り込まれた私が、3ヶ月経つ頃には「言いたいことはほぼ言えてる!」って思うようになるまで何をしたか、ここで書いていってみようと思います。
まず私は、授業が分からないことよりもひとりぼっちでいることが辛かったです。誰かといることができても話せるわけではないのは分かっていたけど、せめて誰かが話しているのを聞くことがしたくて、どうしたら仲間に入れてもらえるか考えました。
仲間に入れてもらうには「仲間にいれて」「友達になって」と伝えないといけません。でも私はその言い方を知りませんでした。
私はいくつかの「これを言いたい」を考え、英語のできる父に訳してもらい、手のひらサイズの紙を用意に表は英語・裏は日本語のように書いたものを10通りくらい用意しました。
「お昼一緒に食べませんか?」「この席空いてますか?」「あなたの次の授業はなんですか?」「ついていってもいいですか?」とか、今でも思い出せるものがたくさんあります。
父が考えてくれた英語の言い回しの多くは、今考えると言い方が大人っぽすぎて堅いものばかりで(父が英語を使うのは仕事の場だったので当たり前ですが!)、でもそれは不安に押しつぶされそうな私にとって大事な「お守り」でした。
学校3日目。ランチの前の授業は体育でした。
みんなで校庭を何周もさせられ、息が上がった状態で座り込んでいる女の子のグループのところに行って、私は「お守り」の中にあって、今日は絶対言おうと暗記していた “May I join you for lunch?” を、目が合って “Hi” と言われた時に一気に言いました。
Hiって言ったのにHiが返ってこず、急に「ランチ一緒に食べていい?」って聞いてきた必死な転校生に、彼女たちは「もちろんだよ」的な返事をしてくれたのでとっても嬉しかったけど、それに対しても何も返せないのを悔しいと思い、置いてかれないようにしなきゃって大急ぎで体操着から着替えて後ろからついていったのを覚えています。
彼女たちのグループは、とても大人数のグループでした。いくつものテーブルを繋ぎ合わせて座っていたのですが、常に10人以上いました。
ティーンが10人以上集まれば、それはそれはにぎやかで、みんな自分のことを話したいからすごく早口で競うように話します。私は言語だけじゃなく、学校の人たちの名前も分からなければ、アメリカの流行も分かりません。
でも私は常に引き攣った笑顔でそこに座っているだけでは、きっとそのうちこの子達は私を仲間に入れてくれなくなるだろうというのが怖く、そうなる前にせめて反応はできるようになろうと思いました。
まず最初に、みんなが飲んでいる色がすごくて甘そうな瓶に入ったSnappleのピンクレモネードを買ってみました。初めて飲んだ時は初めて経験する味に戸惑ったけど、みんなに近づけたようで嬉しかったです。
Snappleというアメリカでは定番の飲み物
日本から来たばかりの私は色にギョッとしましたが、飲んでみると意外とさっぱりしていて後のお気に入りとなりました。
あとはたとえば生にんじんをジップロックに入れていったり、みんなが食べているチップスと同じものを親に買ってきてもらったりして、まずは「みんなと同じことをやってみる」をしてみました。当時は日本ではそんな見ることのなかったZiplockも初めて知る単語でした。
こんな感じで味覚だけでもそれまでの人生で味わったことないものを片っ端から試してみて「こういうものをこの国の子たちは食べているんだ」と知ることにいちいちウキウキしたのを覚えています。
また、こうしてひとつひとつ自分でお店で探して食べてとすることで、すごく小さなことだけど、ティッシュをKleenexって呼ぶんだってことなど、少しずつ日常で役立つ単語が増えて行きました。親についてスーパーに行くと「あの時みんな盛り上がっていたのはこれかぁ!」という瞬間がたくさんありました。
だからといって急に話せるようになるわけではないし、引きつり笑顔でランチテーブルに着く私の日々はまだまだ続くんですけどね。
次回に続く